シミやニキビ跡などの色素沈着といった肌トラブルは、多くの人が悩んでいることのひとつです。
毎日隠すためにコンシーラーで重ね塗りをしている人もいますが、どうしても厚塗り感が出やすいですよね。
できれば根本的に改善していきたいところですが、そんな時に美容皮膚科クリニックなどで扱われるのが「ハイドロキノン」という成分の入ったクリームです。
美白に興味があると聞いたことがない人はいないくらい有名な成分ですが、具体的にどのようにアプローチしていくのかはいまいちピンときません。
そこで今回はハイドロキノンはどんな薬なのか、目立つシミを改善することはできるのかを詳しくご紹介していきます。
ハイドロキノンはどんな成分なの?
まずはハイドロキノンがどんな成分なのか、詳しく説明していきましょう。
いかにも化学物質のような名前が付いていますが、実はイチゴやコーヒーなどにも含まれている自然の成分なのです。
多くの人の肌は気づかないうちに紫外線などを浴びて、少しずつ組織が損傷しています。
そんな紫外線によるダメージを修復し、保護するのが役割なのです。
日本では市販薬や市販の化粧品の場合、2%までの配合率しか認可されていません。
2%以上の高濃度のクリームなどを使いたい場合には、皮膚科などで手に入れるしか方法はないのです。
ただ、5%以上の高濃度の場合で発ガン性があることが動物実験により指摘されています。
そのためヨーロッパでは使用を禁止している薬でもあり、多くのクリニックでは4%配合のものを使っているようです。
ハイドロキノンがシミに効果的な理由
一度できると小さいながらも、ものすごく目立って気になってしまうのがシミですよね。
ハイドロキノンのクリームが効果的な理由について、どのようにアプローチしていくのかを説明していきます。
肌に褐色を生み出してしまうのが、多くの人が知っている「メラニン色素」です。
メラニンはチロシンという物質が、チロシナーゼにさらされることでメラニン色素のもとである「メラノサイト」へと変化していきます。
ハイドロキノンの働きとしては、チロシナーゼをブロックすることでチロシンがメラノサイトに変化するのを抑えるのです。
またメラノサイトが作られたとしても、メラノサイトの細胞に対して毒性を持つため原因から阻止してくれるのです。
つまり、もとから断ち切るという働きで、いつまでも美白の肌をキープすることができるのですね。
肌の漂白剤として、美白を目指す人たちが注目するのには以上のような理由があります。
ハイドロキノンのシミへの使い方とは?
正しい使いかたをきちんと守っていれば、副作用などの確率を下げることができます。
病院でクリームをもらった場合は細かく指導されるので、用量用法を正しく守りましょう。
それでは毎日の使いかたについて、詳しく見ていきましょう。
朝晩ていねいに洗顔をする
クリームを塗る前には肌を清潔に保ってから使う必要があるため、ていねいに洗顔をしていきましょう。
古い角質がたまったままだと、よりくすみや色素沈着の原因となります。
肌への摩擦が強いと表面を傷める可能性があるため、良く泡立ててから転がすように洗います。
洗い流しもこすることなく、シャワーや手のひらで優しく流していきましょう。
塗るタイミングに注意する
クリームを塗る時に重要なのは、塗るタイミングです。
洗顔したあとにすぐ塗りたくなってしまいますが、実は強い薬なので洗顔後すぐでは吸収が良すぎてしまうのです。
洗い終わったあとの肌は水分を多く含むため、薬の成分が浸透しやすい状態になっています。
そのため20分くらい経過してから、ゆっくり塗るようにするとより安全に使うことができるでしょう。
もし時間がない時には、化粧水や乳液などのスキンケアをおこなったあとに塗ると吸収を抑えることができます。
ほんの少しの量を使うこと
美白に良い成分ということで顔全体に塗りたくなってしまいますが、決して全体には塗ってはいけません。
塗り方は綿棒の先に少量のクリームを取り、症状の出ている部分にだけ塗ってあげてください。
指で塗りこむ必要はないため、上からのせる形で大丈夫です。
塗っている時に刺激感があったら、すぐに使用を中止して医師に相談しましょう。
ハイドロキノンを使用する際の注意点
ハイドロキノンは強い薬剤であるため、使用する際には注意しなければならないことがあります。
正しく守らないと副作用が出やすくなったり、症状が悪化したりするので気をつけましょう。
では具体的にどんなことに気をつければ良いのか、詳しく説明していきます。
日焼けをしないように注意
クリームを塗っている期間中に太陽の光を浴びると、普通に紫外線に当たった時よりも色素沈着を起こす可能性が高くなります。
なるべくなら使用中には外出を控えるのが好ましいですが、なかなか難しいので日焼け止めを駆使しましょう。
しっかり日焼け止めを塗って持ち歩き、こまめにケアをしていきます。
そのためクリームを使った美白の治療は、夏場よりも冬場が向いているのです。
気になることは医師に相談
使用中に赤みや腫れ、刺激感があった場合はアレルギー症状がでている可能性も考えられます。
使用していて少しでもおかしいなと感じた症状があった場合には、医師に相談して適切な対応をしてもらいましょう。
はじめからアレルギーがあることがわかっている場合には、使えないこともあります。
強い皮膚の漂白剤を使っているという自覚を持って、医師の指示通りに使うことが大切です。
なるべく短期間で使い切る
一度開けると空気に触れることになり、どんどん酸化が進む性質があります。
酸化が進むと変色していき、成分も変化していくのです。
もし使用しているうちに色が変わってしまった時は、使用を中止するようにしましょう。
ハイドロキノンの副作用が起こる可能性
一般的な食器用などの漂白剤も、手につくと刺激を感じることがありますよね。
ハイドロキノンは皮膚の漂白剤と呼ばれるため、同じように刺激感が出る場合があります。
せっかく美白のためにクリームを使っていても、副作用が起きて症状が悪化したのでは本末転倒です。
市販のクリームでは2%までの配合量のみですが、病院が取り扱っているものはもっと配合率が高いので副作用のリスクは高まります。
主な副作用としては水ぶくれやかゆみ、赤みや腫れなどの炎症トラブルです。
医師に使いかたなどを指導してもらわないと危険なので、自己判断で使うのは避けたほうが良いでしょう。
シミがなかなかなくならないと何度も同じところに長期的に塗りたくなってしまいますが、強い薬剤なので長期の使用は厳禁です。
塗った部分の皮膚が弱くなってしまったり、皮膚が白浮きしてマダラになったりする可能性があります。
塗ってからの効果は数週間で、少し薄くなってきたと感じたらその時点で使用は継続しないようにしましょう。
定期的に皮膚科に通って皮膚の状態をみてもらい、治療方針などを決めてもらうと安心です。
あくまで短期的な治療法として選択されるので、ずっと塗り続けたから症状が良くなるということはありません。
ハイドロキノンは保管方法にも注意!
使いかたも注意が必要なのが特徴ですが、実は保管のやりかたについても気をつけなければならないことがあります。
成分の性質としては光と熱に弱い特性があるので、必ず冷蔵庫で保管するようにしましょう。
冷蔵庫であれば暗いので光はシャットアウトできますし、熱からも遠ざけられます。
ただし冷蔵保存をしても2ヶ月以内に品質は劣化していくので、その都度新しいものを処方してもらってくださいね。
処方されて使用を始めた日を必ず確認しておくと、新しいものと交換する目安がわかりやすくなります。
まとめ
ハイドロキノンはどんな薬なのか、目立つシミを改善することはできるのかを詳しくご紹介してきました。
皮膚の漂白剤と言われるほど強い美白作用のある成分で、意外にも食品に含まれる自然の成分です。
メラニンを生成するメラノサイトの細胞を破壊したり、チロシンがメラノサイトに変化するのに必要なチロシナーゼという酵素を阻害する働きをします。
使い方や保存方法などを間違えると、副作用が起こりやすくなって危険です。
特に皮膚科で処方されるのは配合量も多いので、より医師とのカウンセリングをしっかりおこなう必要があります。
正しく使って、より美しい透明感のある肌を作っていきましょう。